シングルマン〜美しすぎる映画〜
最近は映画を毎週見るのが習慣になっています。
ということで。。。
面白いと思った作品を紹介していきたいと思います。
シングルマン(2019)
監督:トム・フォード
キャスト:コリン・ファース、ジュリアン・ムーア、マシュー・グード、ニコラス・ホルト
まず一言。
とても美しい。。。
美しさとストーリーの深さからすぐに二回目の鑑賞をしてしまった。
一つ一つの描写、立ち振る舞い、物の配置の全てが美しい。
画面の色彩によって気持ちを表しているのが斬新でみていてストレスがなくとても好きだった。現実の世界でみている景色の見え方をうまく表現していて映画に入り込んだようだった。
さすが、トム・フォードさん。
美しさを追及する世界にいる人が作り出す作品は細部までこだわり抜かれていて無駄がない世界だった。今まで見てきた中でダントツで美しい作品。
ストーリーはメッセージ性の強い内容。
人生とは?過去とは、今とは、未来とは。生と死。愛。
主人公と周りの生活感のギャップ、苦悩している時に感じる密閉感をうまく表現している。そして誰でも陥ったことのあるであろう孤独。いろいろなことを考えさせられる。
コリン・ファースの演技は最高の一言。
色気と表情、立ち振る舞い、オーラが作品とマッチしていて心地よい。
序盤の表情がアップになるシーンは30秒ほどだがシングルマンの世界に一気に引き込まれる名演技であった。
コリン・ファースのあの佇まいはなんなのだろう?
キングスマンでもこの人はすごい紳士的だと思っていたのだけれどさらに洗練されている。
紳士の見本のようなあの雰囲気。
カッコ良すぎて見惚れてしまう。
コリン・ファース主演の作品を見てみようと思う。
ネタバレなしはここまで。
ここからはネタばれありなのでまだ見ていない人はお気をつけて。
この作品は本当に色使いが素敵すぎる。
恋人の死から思い悩む毎日を過ごし、過去に囚われて生きる未来に意味を見出せずに死を決意した朝。
世界は色あせていてつまらない1日が始まろうとしている。
いつものように準備をし恋人にしか見せれなかった本当の自分を隠して演じ切らなければいけない世界。家を出たら始まってしまう。そんな後ろめたさかから始まるが。。。
死を意識することによって見えてくる世界がある。
近所の家族の賑やかさ、メイドさんのおっちょこちょい。
イライラしてしまうけれど最後の日だしちょっと踏み込んでみるジョージ。
そんなことの積み重ねをしているうちにいつの間にかジョージの心に変化が生まれる。
過去に囚われて色あせていた世界に生きる喜び、世界の美しさが広がる。
「今」を感じることによって「生きる」実感が戻ってきたかのように。
気付いたら夜になっているのに景色はどんどん色鮮やかになっていく。
終盤は色あせた世界を忘れて今を生きていこうと決心するが。。。
そんな決心も束の間。病気で倒れてしまう。。。
この終わり方がとても良い。。。
死を意識することのよって最後の日くらい気持ちよく終ろう、この世界に悔いを残さず終ろうと踏み込む姿がとてもリアルで映画ということを忘れてしまう。
よく映画を見ていると矛盾点や過剰な表現によて冷めてしまうことがよくあるがこの作品はそんなことが一切ない。シングルマンという世界観に、ジョージの気持ちにいつの間にか引き込まれていき1日を一緒に体験したかのような気分にさせてくれる。
特にスモッグの空に夕焼けが綺麗に映えるシーンは心の中の靄と重なり好きなシーンだった。特にスペイン人が「スモッグは危険だけどこうやって綺麗になることもある」みたいなことを言うシーンでは恐怖も見方や時間を変えてみれば綺麗にうつることもあるよと言うメッセージを感じる。